海女発祥の地と言われている福岡県・鐘崎。鐘崎のあまちゃんの中には、海女漁師としてだけでなく、個性を生かした活動を行っている人もいます。
そのひとりが、愛知県出身の林由佳理さんです。激減する海女漁師の存続のため、2018年に宗像市の地域おこし協力隊として着任しました。そんな林さんは、ウニ殻を使って染め物を制作しています。ウニ漁の時期になると、手や衣服についたウニの色がとれないことに着目し、ウニの殻が染料になるのではと考えました。さらに、ウニ殻を使ってアクセサリーや小物もつくっています。他県からやってきた林さんだけに、地元の漁師とは違った目線で特産物づくりを模索しているのです。林さんは「本当は捨てるウニ殻だが、殻に価値を見出せるといいなと思う。今後は売り出していき、ウニ殻の染め物などが鐘崎の特産品になれば」と語っています。
さらに、もうひとり、地域おこし協力隊として海女漁師になったのが、京都出身の本田藍さんです。本田さんは、有害種のウニ「ガンガゼ」の駆除を行っています。「ガンガゼは海藻を食べてしまい、磯焼けの原因になる。また、海女さんが獲物をとる時、手に刺さってケガをして危ない」と本田さんは言います。そこで、試験的な駆除を進めながら、漁港内の生息を調査し、独自のマップを作成しているのです。
そして、鐘崎出身の海女漁師も新たな展開を模索しています。それが、代々、海女漁師の家系だという正好慶子さんです。正好さんは、鐘崎の海産物で加工製造を展開。そのひとつが、地元の漁師が見向きもしなかった海藻「アカモク」です。素材は、正好さん自身や地元漁師が、素潜りで収穫した新鮮で品質の良いアカモクを使用。さらに、加工でも、鮮度を保つために紫外線殺菌処理をした磁気活性水の海水を使用したり、口当たりが良くなるように2度挽きしたりすることで、質の高い製品にしているのです。正好さんは「鐘崎のアカモクのブランド化を目指して頑張ってつくっている」と言います。
「鐘崎の海が好き」という正好さん、「海女漁師という生き方がいい」という林さん、そして、本田さんは「恩返しというか、私たちも来た以上、文化を残すために何ができるかを考えているので、少しでも何か出来たらと思っている」と語っているように、鐘崎の海に魅了されている新世代のあまちゃん達が、鐘崎と海女文化を盛り上げるために奮闘中です。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinふくおか」
協力:RKB毎日放送株式会社