石川県にある会社「ロータスコンセプト」の代表・蒲田ちかさんによって製品化されたのが、「大麦ストロー」です。脱プラスチックを目的に、2019年5月から本格生産を開始した大麦ストローは、金沢市のホテルで使用されるなど広がりを見せています。(「麦ストローが広げる脱プラの輪」)
その後、大麦ストローは、自然にやさしい商品に与えられる「ソーシャルプロダクツ・アワード2020」で入賞しました。蒲田さんは「アワードに出して評価されたことにより、様々な問題点や世の中の人達に知ってもらいたいことが、ちゃんと表現された商品だとわかった」と言います。そして、受賞を機に新たな展開がありました。ソーシャルプロダクツ・アワード2020に同じく入賞した「アサヒビール」が、大麦ストローを一緒につくりたいと打診してきたのです。アサヒビールは、宮城県東松島市の震災復興支援として、「希望の大麦」でビールを製造。蒲田さんは「復興のビールを出している大麦で『希望の大麦ストロー』をつくりたいと打診があり、その想いに共感して受けた」と語っているように、アサヒビールと協同で「希望の大麦ストロー」をつくることになったのです。その後、蒲田さんは、6月に現地で収穫を手伝い、麦わらをどうやってストローに加工するかの指導を行うなど、希望の大麦ストロー実現に向けて、全面協力している最中です。
さらに、蒲田さんの大麦ストローへの想いに賛同したのは、アサヒビールだけではありません。それが、金沢大学付属高校に通う保科怜里さんです。保科さんは、大麦ストローに触発され、中学3年生の時から海洋プラスチックごみ問題に取り組んでいます。「蒲田さんがつくっている大麦ストローを使って、プラスチックの使用量を減らすことと、すでに世に出たプラスチックをどうするかを研究している」と話しているように、通う高校では、地域活性化プロジェクトのポスターセッションで、脱プラスチックを目指す大麦ストローの意義や今後の展望を訴えました。さらに、希望の大麦ストローでは、なんと宮城県まで自費で同行し、収穫を手伝ったのです。蒲田さんは「保科さんは脱プラスチックに向けた未来を感じる頼もしい存在」と語っています。
本格生産から1年で大きな広がりを見せている蒲田さんの大麦ストローですが、蒲田さん自身も海洋プラスチックごみ削減に向け、新たな一歩を踏み出しました。それが、犀川での清掃活動です。金沢市の中心部を流れる犀川下流には、数多くペットボトルやレジ袋がポイ捨てされています。そこで、「アーバントラウト 犀川を見守る会」が定期的に清掃活動を行っています。蒲田さんは、海と日本プロジェクトがキッカケとなり、清掃活動に参加。今では「犀川を見守る会」の副代表になり、プラごみ清掃活動にも取り組み始めたのです。蒲田さんは「清掃活動に参加したことで、自分がもっと何か果たさないといけない、大麦のストローを通じて伝えないといけないことがたくさん増えた」と語っています。
大麦ストローをキッカケに広がる海を守る人達の輪。そして、蒲田さん自身も、さらなる歩みを進めています。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinいしかわ」
協力:石川テレビ放送株式会社