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無人運航船で世界初の実証実験~年間1兆円の経済効果が期待できる新プロジェクトを日本財団が支援~

日本財団は無人運航船の実証実験を始めると、2020年6月12日に発表した。実証実験を行うのは、5つのコンソーシアム(複数の民間企業体)で、海運や造船、ITなど40以上の企業が協力し合う一大プロジェクトとして、2021年に実証実験を行う予定。

そもそも無人運航船とは、必要に応じてオペレーターが遠隔操作なども行うが、船内のほぼ全ての作業をAIやIoTが担当して無人で運航する船のこと。今、日本では、内航船において、船員の高齢化や人手不足が問題となっているという。実際に50歳以上の船員は5割を超えている。そのため、無人運航船は、人員不足といった問題の大きな解決策の1つになりうるという。さらに、日本財団は、2040年に50%の船が無人運航船になった場合、年間1兆円ほどの経済効果が期待できるとの試算も発表している。しかし、開発に莫大な資金が必要などの理由から、日本では無人運航船の開発はほとんど行われていなかった。そこで、無人運航船を実現させるため、実証実験を行うというのだ。

そして、日本財団によると、実証実験では世界初の試みが行われるという。中でも、多数の船が行き交う「ふくそう海域」での実証実験に注目。日本財団の常務理事・海野光行さんは「通常の船では、船員が状況を目で認知し、そして判断をして操船をする。無人運航船では、それに代わるものをAIにさせる。ふくそう海域では、AIが頻繁に判断をする状況になるため、そこを各コンソーシアムがどうクリアしていくのかというのが見どころになるだろう」と語る。その他にも、「大型船の使用」や「長距離の航行」、そして、「自動車の自動運転システムを改造した水陸両用の無人運転技術の開発」などの実証実験も世界初の試みだという。

さらに、日本財団は、実証実験だけで終わらせず、2025年までの実用化、そして、2040年を目処に運航する船の半数を無人運航にすることを目標にしている。そこで、無人運航船に関わる一連の取り組みを「MEGURI2040」というプロジェクトとし、今後も支援し続けていくという。日本財団の会長・笹川陽平さんは「無人運航船の実証実験によって、世界で最初に日本が先べんをつける。造船・海運のイノベーションをぜひ日本発でやって欲しい」と語っている。

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