沖縄県で刺し身やバター焼きなどで食され、釣り人にも大人気の魚が、タマン。タマンは沖縄県の方言で、和名ではハマフエフキダイという。
そんなタマンは、かつて危機に瀕していた。「沖縄本島・北部の今帰仁と羽地では、小さなタマンを獲り過ぎて、かなりタマンが減ってきているということがあった」と、沖縄県水産海洋技術センターの研究員・秋田雄一さんが話すように、タマンの資源量が減少してしまったのだ。その原因は、赤土の流出により海が汚れ、魚が住みにくくなったこと、開発行為による環境の悪化、また、小さな魚を獲り過ぎていることなどが考えられるという。
そこで、対策のひとつとして行われたのが、タマン保護区の作成。「小さな魚が集まる場所を全面禁漁の保護区にして獲らないようにしました」と、秋田さんが話すように、北部の今帰仁や羽地海域では、2000年からタマンの保護区をつくり、毎年8月から11月まで全ての漁法を禁止に。さらに、週1回パトロール活動なども行っている。その結果、1999年以前は、タマンの資源量がおよそ15トンだったのが、近年では3割ほど増加。漁獲量も安定してきているという。こういった長年の活動が認められ、今帰仁・羽地では、環境大臣賞まで受賞したのだ。羽地漁業協同組合の仲松潤さんは「引き続き、タマンの保護は続けていきながら、他の魚種についても資源回復が必要な魚種もありますので、今後検討していきたいと考えています」と話す。
沖縄の海は、海を想う人たちの長年の奮闘によって支えられていた。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin沖縄県」
協力:琉球放送株式会社