生態系

激減した越前ウニを救うのはエサの研究

日本三代珍味のひとつ、塩ウニ。
特に、福井県内でつくられる越前ウニは、高級品として知られている。

しかし、近年、その材料となるウニに異変が起きている。それが、ウニの漁獲量の減少。それに伴って、塩ウニの生産量も激減していて、1980年代には、1400kgを超えていたが、2016年はたった75kgに。

その要因のひとつが、岩場の環境の悪化。
雄島漁協の下影務組合長によると、「福井新港の南防波堤の延長が一番大きい要因だと思いますよ」と話す。港の防波堤を延長したことで、海流が変化。沿岸部に砂がたまり、外に出なくなってしまったという。それによって、ウニの住処となる岩場に砂がつき、エサとなる海藻が育たなくなってしまったと考えられている。とはいえ、港と防波堤の工事は私達にとって必要なこと。

そこで、違った方法でウニの減少に歯止めをかけようと取り組んでいるのが、敦賀市にある県水産試験場。その取り組みとは、ウニのエサの特定。ウニが海藻を食べることはわかっていたが、どの海藻を食べるかは、長年ベールに包まれていた。そこで、1年余り、ウニが食べた海藻のDNAを解析。その結果、イソモクとジョロモクという海藻を好んで食べていたことを遂に突き止めたのだ。これによって、ウニが好きな海藻を海中に増やせば、ウニを増やせるという。さらに、この成果は養殖にまで生かせるそう。県水産試験場の研究員・仲野大地さんによると、「養殖をする場合、天然のウニが食べるものと同じものを与えることによって、天然モノと変わらない味のウニがつくり出せると思っています」と、この取り組みのメリットを語る。現在、この研究の成果を実用化するため、準備を進めている。

仲野さんは、「夢が広がっていく研究だと思っています」と、福井県産のウニの未来が明るいことを語っている。

素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinふくい」
協力:福井テレビジョン放送株式会社

ad_pc_613

関連記事

  1. 生態系

    愛媛県最大の干潟にいるアサリの中身がない!?

    愛媛県西条市を流れる中山川と加茂川河口に発達した干潟。この干潟…

  2. 生態系

    消滅の危機に瀕している神業“ムツかけ漁”

    有明海には神業と言われる伝統漁法がある。それが、ムツかけ漁。…

おすすめ記事

  1. 海の生態系を支えるアマモの復活

最近の記事

  1. 瀬戸内海に面する4県で一斉ごみ拾い!知事も参加しプラごみ・発…
  2. 海・川の“流れ”を再現!水難事故を防ぐ新教育プログラムを親子…
  3. 親子で見たい!動画で学ぶ水辺のそなえ|海のそなえプロジェクト…
  4. ミシュラン星シェフらが美味すぎるサステナブル料理を創造|小泉…
  5. 江の島を望む海岸に“青いサンタ”集結へ──元サッカー日本代表…
PAGE TOP