愛媛県の佐田岬半島。
ここの海岸には、多くのゴミが流れ着く場所がある。長年に渡って積もった結果、ゴミが層になっているところもある。「ゴミが集まる場所で何十年も拾わなかったら、こんな風になってしまうという現場です」。そう話すのは、海ゴミの収集を行っている岩田功次さん。岩田さんは、サインデザインの仕事をする一方で、海のゴミについて深い関心を持ち、2016年に、E.C.オーシャンズを結成。以来、賛同する仲間と一緒に海のゴミの収集や調査を行っている。
そんな岩田さんが、ゴミが多い別の場所として案内してくれたのが、伊方町の近くの海岸。この海岸も佐田岬半島の一部。佐田岬半島には、小さな入り江が多くあり、風向きと潮の流れによってゴミが流れ着きやすいという。特にこの海岸は、普段は人が足を踏み入れることが出来ない。そこで、船で海岸に近づくしか方法が無いが、浅い場所には見えない岩が多く船も近寄れない。そのため、ゴミが溜まっているのだ。岩田さん達は、手漕ぎボートに乗り換えたり、水陸両用艇を使用したりして上陸。ゴミ収集を行う。ゴミは、海岸だけでなく、波消しブロックの隙間にも溜まり、また、風に吹きつけられて、行き場を失ったビニールなどの軽いゴミは山の斜面に張り付いている。そのほとんどは私達が暮らしの中で出した生活ゴミ。そんなゴミを、一度の清掃で2トントラック2台分も回収することもあるという。「漂流ゴミになったら、なかなか拾えないですけど、漂着している今だったら拾えますから。漂着ゴミを回収できなければ、このままこのゴミを未来の子ども達に受け継ぐような形になる。負の遺産にならないように、ゴミを拾っていくそういう風な社会にしたい」と岩田さんは話す。
美しい瀬戸内の海。その裏には、ゴミ問題を解決しようと奮闘し続けている人がいる。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinえひめ」
協力:南海放送株式会社