サンゴが広がる愛媛県愛南町の海。
ここに厄介な生物がいるという。
それが、オニヒトデ。トゲだらけの大きな生物オニヒトデは、増え過ぎると問題を引き起こす。その問題とは、サンゴを食い荒らしてしまうこと。サンゴ礁は美しい景観をつくり出すだけでなく、小魚の隠れ場や住処になっている。そんなサンゴの天敵がオニヒトデ。被害が広がっているという。愛媛大学大学院 農学研究科 水産学博士の三浦猛教授によると、「オニヒトデは、1970年前後に非常にたくさん取れる時期がありましたが、その後、1980年ぐらいからしばらく取れなくなっていたんです。しかし、2000年に入ってきてから非常に増えてきて、今は、ある程度の量が居続けるという状態になっています」と話す。増減の原因は不明で、現在は減少傾向だという。ただ、愛南町では、2005年は駆除数が7匹のみだったオニヒトデが、ここ数年は数百匹まで増加。当木島・野地島周辺などに広がっていたサンゴ群は、オニヒトデによって消滅してしまったという。
そこで、愛南町では、年に7回、オニヒトデの駆除活動を行っている。その方法は、オニヒトデを見つけたら、エビばさみと呼ばれるもので引っ張り出し、注射針で酢酸を注入して駆除するというもの。ちなみに、他の薬物でも駆除はできるが、酢酸を使うと環境にやさしいため、酢酸を用いるという。また、サンゴを食べるヒラセトヨツガイなどの貝類も指やピンセットで駆除。そんなこの活動は、1匹ずつ駆除し続けなければならない大変で地道な作業となっている。
しかし、サンゴを守ることが、サンゴに隠れて住む小魚、そして、その小魚をエサとする魚の食物連鎖を守ることにも繋がっているのだ。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinえひめ」
協力:南海放送株式会社