兵庫県を代表する海産物のひとつ、兵庫海苔。
全国2位の生産量を誇り、コンビニエンスストアなどのおにぎりにも使われ、瀬戸内海の早い潮の流れによって育った海苔は、色や味、香りがいいと親しまれてきた。
しかし、近年、問題が起こっている。
それが、海苔の色落ち。本来、海苔の色は黒いが、色落ちによって褐色になり、味も悪いため、商品価値が低下してしまう。さらに、神戸市の海苔の養殖漁業者は、「普通だったら4月まで海苔の養殖が出来るが、近年は2月で終わってしまう」と話す。漁業関係者に深刻なダメージを与えているのだ。
原因は、海中の栄養不足。
高度経済成長期、海の水質が悪化。生活排水と産業排水によって赤潮が発生するほど、海に栄養が多すぎる状態に。その後、下水道の整備や排水規制などにより、水質は改善。しかし、今度は逆に海に必要な栄養が足りなくなる事態となってしまった。そのため、海苔の成長に十分な栄養が足りず、色落ち現象が起きているという。
そこで、対策が行われている。兵庫県漁業協同組合連合会の専務理事・突々淳さんによると、そのひとつが、「一番やってるのが、海底耕耘」だという。海底耕耘とは、ロープの先に専用の漁具を取りつけ、海底に沈めて船で引っ張る。そうして海底の砂や泥を耕すことで、沈んでいる栄養を引き上げていく。まだ成果は出ていないが、海底耕耘を行った漁業関係者は「マイナスにならないことであれば、何でもやっていかないといけないと思っています」と、兵庫の海を豊かにするため奮闘している。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinひょうご」
協力:株式会社 サンテレビジョン