海の体験機会づくり

三重の海から伊勢海老が消える!?~各地の海の課題に取り組む「海のごちそうプロジェクト」~

食を通じて海に興味・関心を持ってもらう取り組み「海のごちそうプロジェクト」。日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、4年目となるこのプロジェクトはいま、活動の裾野がさらに広がっています。

このプロジェクトの大きな柱のひとつが、2021年から毎年開催している「海のごちそうフェスティバル」です。今年度は2023年10月21日・22日に二子玉川ライズで実施。日本財団の海野光行常務理事が「(メインメッセージである)『知れば知るほど、海はおいしい。』とはどういう意味なのかを、お買い求めいただいた皆さんに感じ取ってもらえたら」とオープニングステージで話したように、このイベントは食べ物の背景にある「海のストーリー」を伝え、おいしいをきっかけに海の未来を考えるもので、「海のごちそうプロジェクト」の1年間の集大成として開催されています。当日は全国各地の海のグルメが味わえ、その食材の背景にある海の現状や課題、食材が口に入るまでのストーリーにふれることができるフードブース「海のごちそうキッチン」や「海のごちそうマルシェ」などを展開。今年度は、海の社会課題を伝える商品を高校生が手売りする「海のごちそう高校生マルシェ」も新たに行いました。

このフェスのほかにも、「海のごちそうプロジェクト」では、10月10日の「魚(とと)の日」から16日まで、海の食に関するさまざまなキャンペーンを全国各地で行う「海のごちそうウィーク」、「魚をさばく」を入り口に各地の海の食文化や海洋環境を学んでもらう「日本さばけるプロジェクト」、各地域の海と食の課題を地域のグルメを開発して発信していく「海のごちそう地域モデル事業」など、多種多様な取り組みを行っています。プロデューサーの國分晋吾さんは「出てきたお魚をただ食べるのではなくて、資源や環境、食文化といった背景を知って食べると、より一層おいしく味わえると思っている。それが本当の意味での“海のごちそう”なのではないかと考え、実施している」とプロジェクトの意義について語っています。また、こういった活動の中で、すぐに解決しなくてはならない喫緊の海の課題があると國分さんは言います。それが、「魚種転換」と「磯焼け」です。

この2つの課題に取り組み、成果を上げている事業のひとつが、「海のごちそう地域モデルinみえ熊野」です。2023年度から開始したこの事業が取り組んでいる課題が、「植食性(しょくしょくせい)魚類の増加」。三重県では、アイゴといった海藻を食べる魚たちが、地球温暖化などの影響から増えています。その結果、海の生きものたちの棲み処や産卵場所となっている藻場が減少・消滅する「磯焼け」が起こっているのです。海のごちそう地域モデルinみえ熊野の事務局長・地域プロデューサーの小野里伸さんは「伊勢海老が三重の海から消えていってしまう。藻場がなくなっているのが、大きな要因のひとつ。伊勢海老の稚エビが育つには藻場が必要不可欠」と危機感を抱いています。さらに、三重で増えているアイゴは、背びれに毒があり、鮮度が落ちてくると臭みも出てくるため扱いにくく、漁で網にかかっても一般に流通することは少ない魚という課題もあります。そこで、小野里さん達は地元の漁師や漁協などと協力。生きたままアイゴを水揚げしてもらい、加工場ですぐに活締めして三枚におろすという新鮮なまま加工する仕組みを確立。地域の海の課題魚であるアイゴをおいしく活用できる魚に変えました。小野里さんは「(この1年間で)水揚げから加工までの仕組みがうまくできたのが、最も大きな成果だと思う。(さらに)飲食店20店舗でメニュー展開してもらった」と話しています。プロジェクト1年目にして確かな手応えを得られたという海のごちそう地域モデルinみえ熊野ですが、今後については「まだテイクオフしたばかりなので、これから何年もこの課題について取り組んでいかないといけない。このプロジェクトを足掛かりに、アイゴとか植食性魚類を、例えばアジとかサバとかイワシとかと同じ目線で捉えてもらえるように頑張っていきたい」と小野里さんは語っています。

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