安全・そなえ

命を救うライフジャケットの正しい着用方法~ライフセーバーが教える水難事故防止のための実践的な「そなえ」【前編】~

これから夏本番。海や川でのレジャーで気をつけなければいけないのが、水難事故。事故を防ぐためには、さまざまな「そなえ」が必要です。そのひとつがライフジャケット。「ライフジャケットはサイズがいちばん大事。そして、股紐がしっかり着いていることがポイント」と話すのは、公益財団法人 日本ライフセービング協会の副理事長/教育本部長で成城学園の教諭でもある松本貴行さんです。松本さんには以前「いま知っておくべき水難事故防止のそなえ」で、「溺れないための知恵・知識・情報」と「万が一の対処法を身に着けている」という2つのそなえの重要性について教えてもらいましたが、今回は具体的な内容について伺いました。

なぜライフジャケットでは、サイズと股紐が大事なのでしょう。松本さんにライフジャケット着用の有り・無しでどんな違いがあるのかを教えてもらいました。まずはライフジャケットを着ていない状態で落水した場合について、「落ちてから浮上するまでに時間がかかる。この間に相当パニックになると思う。また、水を飲んでしまうので、通常の落ち着きというものが保てなくなり、それが溺れに繋がってしまう」と言います。また、適正サイズではない、正しく着用していない状態で落水してしまうと、ずり上がって本来の性能が発揮されず、パニックを引き起こす要因になってしまうそうです。一方、ライフジャケットを正しく着用できていた場合は、もし落水しても、すぐに浮力が確保され、水面に顔が出るため呼吸や視界がクリアな状態になります。

では、正しく着用するためにはどうしたらいいのでしょう。順を追って教えてもらいました。「まずは、サイズがしっかりと合っていること。子どもであれば、ファスナーやバックルを留めた時に体がサンドイッチされている、挟まれている感覚があればサイズが合っている。次にファスナーを途中までではなく、上までしっかりと締める。続いてはバックル。しっかりと密着させるために、体の横にあるバックルを前に絞るような形で締める(※バックルは前についているタイプもあります)。最後は股紐。後ろから前に持っていき、バックルに留める。そして、下に絞るような形で締める。ライフジャケットが上にずり上がらないことを確認したら完了」。このライフジャケットの着方について、子ども達に教える際にはわかりやすい合言葉があるそうで「ライジャケサンタ・森重裕二さん推奨の『前・横・おまたのお約束!』と子ども達に教えている。ぜひ親御さんもそれを合言葉にして欲しい」。

ライフジャケットを正しく着用した後、特に子ども達には、ライフジャケットでの浮き方に慣れてもらうと良いと松本さんは言います。「例えば海では、浅瀬でライフジャケットがどれぐらい浮くのか。また、小さい子どもだと、うつ伏せから仰向けになることが難しいなどあるため、水の中での身のこなしを大人が一緒に体験しながら、徐々に慣らしていくというプロセスがすごく大事だと思う」。

しかし、事故は予期せぬところで起きるもの。そのため、ライフジャケット未着用時の対処法を学ぶことも重要な「そなえ」となります。そこで、さまざまな「浮き方」や「救助の方法」についても、松本さんに教えてもらいました。

(後編に続く)

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