スポGOMIワールドカップの初開催が、2023年2月14日に発表されました。スポGOMIとは、2008年から始まったごみ拾いとスポーツが融合した日本発祥の競技。現在では、世界各国で開催され、日本でもeスポーツと融合した「eスポGOMI」や高校生大会の「スポGOMI甲子園」が行われるなど、多様な広がりを見せています。その中で、日本財団の笹川陽平会長が「ごみを捨てない啓蒙活動の起点として、スポーツごみ拾いの世界大会をやろうと考えた」と発表で語ったように、スポGOMIの普及を推進してきた日本財団が主催し、ファーストリテイリングが協力する「スポGOMIワールドカップ」が今年開催されることになりました。ファーストリテイリングの柳井康治取締役が「大阪で『こどものホスピス』の事業を日本財団と一緒に取り組んだのがキッカケ」と話す両組織は、一体なぜタッグを組んだのでしょうか。
ユニクロを傘下に持つファーストリテイリングでは、店舗で回収した服をリサイクル、リユースする「RE.UNIQLO」など、さまざまな環境活動を行っています。「スポGOMI×ユニクロ」もその中のひとつで、日本財団との関係からスタートしたと言います。「スポGOMIに参加してみて、街のごみが海に繋がっているのだと気づかされた。そういった中で日本財団と海ごみの問題をもっと大きく発信していきたいと考えた」と話すのは、ファーストリテイリング コーポレート広報のシェルバ英子部長です。そして、スポGOMIを通じて海への理解が深まり、その後、海洋ごみ削減を全面に打ち出したのが、「JOIN: THE POWER OF CLOTHING」です。「リサイクルポリエステルを使った商品開発をここ数年進めていて、お客様にも買い物を通して環境問題を考えるキッカケづくりや、環境活動に参加をできるような取り組みにしていこうと立ち上げた」と話すこのプロジェクトは、キャンペーン期間中に対象商品を購入すると、商品1枚あたりUS1ドルが、海洋ごみを減らすための活動に役立てられるというもの。ここで集められたお金が日本財団に寄付され、スポGOMIワールドカップに活用されることとなったのです。開催にあたっては「全世界で3000以上の店舗があり、オウンドメディアなども世界へ展開しているというように、グローバルに発信していく力を持っているので、情報発信で協力・貢献ができたら」と語っています。
一方、主催の日本財団はどんな想いを持って、スポGOMIワールドカップを開催するのでしょう。日本財団の海野光行常務理事は「プラスチックごみ、特にプラスチックの生産量は、2050年には今の3倍になると言われているため、もう待ったなしの状況だと思っている」と、危機感を抱いているのが、世界で深刻化する海洋ごみ問題です。日本財団は、岡山・広島・香川・愛媛の瀬戸内4県が連携して行っている海洋ごみ対策「瀬戸内オーシャンズX」や、様々な業種や業界が連携し、新たな海洋ごみの発生防止やすでに発生した海洋ごみの削減を目的とした企業間連携組織「ALLIANCE FOR THE BLUE」など、さまざまな対策を行っています。その中で重要視しているのが、中高生などの若い世代だと言います。「海の問題など、これからを担っていかないといけないのは、この世代の人たち。中高生の発想や何物にも忖度をしないストレートな物言いなどが、新しいムーブメントをつくっていくキッカケになりつつある」と海野さんは話します。そこで、日本財団は、スポGOMIにおいても、2019年から高校生NO.1を決定する「スポGOMI甲子園」を企画して開催しています。そして、今回ワールドカップにまで発展させた背景には、本家のサッカーワールドカップがあるそうで、「ごみを拾うという行為が、世界で高く評価されている。このムーブメントの中で、海洋ごみ削減のアクションに続けられるようなものを何とかつくり上げたいと考え、企画した」と経緯を語っています。史上初となる世界大会について、「日本発のスポーツごみ拾いを全世界に知らしめていく。また、全世界で活動に参画してもらうことで、海洋ごみ削減の一歩に、キッカケになってくれることを願っている」と意気込んでいます。
約20カ国を巻き込んで開催されるスポGOMIワールドカップ。日本での国内予選は4月から始まる予定です。