海の体験機会づくり

直木賞作家4人も参加!有識者が灯台について語り合うイベント~海と灯台プロジェクトの集大成「海と灯台サミット2024」~

都内で「海と灯台サミット2024」が11月3日に行われました。(主催:一般社団法人 海洋文化創造フォーラム 共催:日本財団 海上保安庁)

近代日本の幕開けとともに誕生した灯台は、海上交通の安全を守る道標としての伝統的役割を超え、現代では多様な可能性を秘めた存在として注目を集めています。そこで、このサミットは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、灯台の新たな利活用方法や海洋体験を創造している「海と灯台プロジェクト」が、今年度の活動の集大成として実施。異分野・異業種の視点も交えながら、灯台での取り組みや未来について語り合いました。

第1部のシンポジウムは、日本財団の笹川陽平会長と海上保安庁の第一管区海上保安本部・函館海上保安部・菅原大交通課長によるビデオメッセージからスタート。笹川会長はアイスランドのガールスカギ灯台から「灯台をどのように保存し利活用していくかが重要。皆さんの活発な意見交換を期待しています」とメッセージを送り、菅原交通課長は北海道の恵山岬灯台での取り組みや活動を紹介しつつ、「本日の海と灯台サミットを通じ、『守灯精神』の輪がさらに広がることを祈念しています」と期待を寄せました。

シンポジウムはその後、「灯台で地域活性化」「灯台で○○やってみた」「海と灯台学」という3つのテーマをもとにトークセッション。まず、「灯台で地域活性化」では、日本各地の利活用事例を紹介。積丹町地域活性化協議会(北海道)の小山彩由里さんは「幻想的な空間を、参加者だけの貸し切りで楽しむことのできるロマンチックかつ大人の冒険心をくすぐるようなツアーを企画し実施しました」と、普段は立ち入ることのできない夜の神威岬灯台を訪れたツアーを報告。そのほかにも、愛媛県の佐田岬灯台で地元の高校生とコラボした企画など、さまざまな取り組みが紹介されました。

続いて、「灯台で○○やってみた」というテーマでは、現代版灯台守や灯台でキャンプを行ったバイきんぐ・西村瑞樹さんといった有識者たちがクロストーク。愛媛県の釣島灯台でリリー・フランキーさんとともに「灯台ラジオ」をやってみた杉作J太郎さんは「(生放送の当日が悪天候で)外もすごい雨と風なんですよ。その状態でも夜になったら灯台の灯りが点いた。『あっ光が点いた』と思って一瞬うれしい。雨の日も風の日も灯台はこうやって頑張っているんだと感じた」と生放送の舞台裏を披露。そして、会場でひと際注目を集めていたのが、石狩灯台の妖精こと“石狩灯台お兄さん”。「赤白つけようぜ!」という決め台詞を、登壇者たちと一緒に披露するなど会場を盛り上げていました。

「海と灯台学」というテーマでは、灯台をめぐる専門領域の有識者らが登壇。それぞれの研究について詳しく語りました。

さらに、第2部では、今年10月に出版された紀行集「灯台を読む」に参加した直木賞作家4人が登壇。「灯台を題材に物語を書くとしたら?」というテーマでは、門井慶喜さんが「海と灯台プロジェクトと逆に、海から灯台を照らすような感じで書いたらイケるんじゃないか」、澤田瞳子さんが「長崎県の五島列島の福江島の灯台を書きたい。戦争に出ていく人たちにとっては、最後に見た日本の姿がこの灯台だったのだろう」と考えてきた切り口を紹介するなど、作家ならではの視点から灯台を語りました。

さまざまな事例とともに、活発な意見が交わされたこの日のサミット。海と灯台プロジェクトの今後について、日本財団の海野光行常務理事は「点であるものを線として結びつける意味合いもあるが、“灯台”と“旅”を掛け合わせるような事業展開、提案・企画などを
これから実証していきたい」と展望を述べています。

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