海ごみ

海洋問題で共同!世界的権威の経済誌を発行する英企業と日本財団 【後編】~The Economist Groupと日本財団による「Back to Blue」~

(前編はこちら)

The Economist Groupと日本財団が創設した「Back to Blue」では、世界で深刻化している海洋問題に取り組んでいる。The Economist Groupの編集主幹・チャールズ・ゴッダード氏は「Back to Blueはグローバルなレベルで、政府や企業に働きかけることができる」と話し、日本財団の海野光行常務理事が「世界を変えるようなプロジェクトを生み出せるのではないか」と語るこの取り組みは、2021年から始動。プラスチックの管理について、世界25カ国を対象に各国の取り組みと現状を評価する「プラスチック管理指数(PMI)」の公表など、さまざまな活動を行っている。

中でも力を入れているのが、海洋酸性化の周知・啓発。海洋酸性化とは、二酸化炭素が海水に溶け込み、アルカリ性の海の水質が酸性の方向に変化する現象のこと。チャールズ氏は「海洋酸性化が海中の生態系にダメージを与えている。これも私たちがとても憂慮している海の問題のひとつ」と語っている。日本近海でも進行している海洋酸性化について、海野常務理事は「3年ぐらい前から漁師の方が『なんか牡蠣がおかしい。養殖の牡蠣が軽い』と話していた。酸性化が進むことによって、甲殻類や貝類などの稚貝や幼生が育たなくなる。これは大きな問題で養殖にも関係してくる」と危惧している。そこで、日本財団は、2020年4月から海洋酸性化適応プロジェクトを実施。幼生の時期に海洋環境の影響を受けやすいという牡蠣に着目し、定点観測を行っている。海野常務理事は「アメリカ・西海岸でも酸性化の影響が起きていて、すでに対処しているという事例があるので、日本のモデルをつくって、アメリカのモデルがひとつあれば、他の地域でもし酸性化が進んでも対処できるかもしれない。そういうモデルとして、このプロジェクトを進めていく価値があると思う」と話す。また、Back to Blueでも、酸性化に関するドキュメンタリー映像を制作するなど、広く世界に警鐘を鳴らしていく予定だという。

今後のBack to Blueについて、チャールズ氏は「これまでの活動を通じて、本当にたくさんのことがわかってきた。ただ、海と私たち人間や生き物との密接な関係を、我々はまだ学び始めたばかり。その上で、日本財団と緊密な関係のもと仕事ができるのは素晴らしいことで、海洋問題に関する議論を深めていくことに貢献していきたい」と語っている。そして、海野常務理事は「Back to Blueで変化を起こすということ。各国政府の政策や企業の取り組み、あるいは市民の認識、消費者の行動変容などに良い影響を及ぼすような形までいきたい。そこを目指して進めている」と抱負を述べている。

素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin東京」「海と日本プロジェクトin岡山」
協力:株式会社テレビ東京ダイレクト 山陽放送株式会社

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