海ごみ

異業種が連携して海ごみ対策~包装材メーカーから文房具の企業まで協働する「ALLIANCE FOR THE BLUE」~

レジ袋の有料化が始まり、海洋ごみへの関心が高まる中、日本財団が「アライアンス・フォー・ザ・ブルー(ALLIANCE FOR THE BLUE)」の設立を、2020年7月29日に発表した。この組織は、様々な業種や業界が連携し、新たな海洋ごみの発生防止やすでに発生した海洋ごみの削減を目的としたもの。

海洋ごみは、ポイ捨てだけが原因ではなく、開発の段階では包材・印刷などの企業、製造の段階では食品企業などのように、発生するまでに多くの企業が関わっている。そのため、ひとつの企業や業種の対策では海洋ごみ問題は解決できないという。また、日本生活協同組合連合会(コープ)と日本財団の共同調査によると、8割を超える人が「日用品などを購入する際、プラスチックによる包装が過剰、もしくは不要だと感じたことがある」と回答するなど、海への配慮をした商品や仕組みが企業側から提供されていないと消費者は感じているという。さらに、「環境負荷を減らすために、5~10円価格があがったとしても、リサイクル樹脂のペットボトル容器にして欲しい」と半数以上が回答するなど、多くの人が「容器等の環境配慮が増すのであれば価格に転嫁してもよい」とも感じているとわかった。そこで、様々な業種や業界が連携し、海洋ごみ問題に対応するためのプラットフォーム「アライアンス・フォー・ザ・ブルー」を設立したのだ。アライアンス・コーディネーターの堀口瑞穂さんは「1社1社ではなく、企業同士でやってみたいことを相談・提案し合いながら、どんどんプロジェクトとして回していきたい」と話している。

そんなこの組織には、文房具のコクヨ株式会社や包装材メーカーの大日本印刷株式会社など、現在14の企業が加盟している。そして、設立発表イベントでは、各企業が実施している海洋ごみ対策についても説明。その中の1つが、漁網をリサイクルしている「リファインバース株式会社」。日本国内で年間1万トンほど使用され、捨てられているという漁網は、漂着するプラスチックごみの中で最も割合が高い。そこで、リファインバースでは、ナイロン製の廃漁網を回収してリサイクルし、繊維などにして販売している。しかし、リファインバース株式会社の常務取締役・加志村竜彦さんは「製品はつくれるが、エンドユーザーに届くような商品開発ができないという問題を抱えている」と話す。そこで、アライアンス・フォー・ザ・ブルーにて、他の企業と連携し、さらなる海洋ごみ対策を進めていきたいという。

そんなアライアンス・フォー・ザ・ブルーでは、今後、加盟企業と連携しながら「漁網利用の実態調査と海ゴミ化の抑制」、「海ゴミが発生しやすい場所での容器利用と再資源化の試行・検証」、「海とのつながりを実感する仕掛け」という3つの取り組みを重視して行っていく予定。日本財団の常務理事・海野光行さんは「日本財団もこれまでの調査の結果や知見を活かしながら、企業の皆さんのハブとなって成長をサポートしていきたい」と話し、さらに、笹川陽平会長は「日本財団をプラットフォームとして、新しい素材の開発や海洋について産業界のイノベーションを起こしていくことを期待している」と語っている。

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