日本財団は、新型コロナウイルス対策支援の第4弾として、東京都内の介護・福祉施設のスタッフなどを対象に、無料でPCR検査を提供すると、2021年1月19日に発表した。
死亡者の80%以上が高齢者という現状や高齢者福祉施設でのクラスターが多数発生していることから、日常的に高齢者に接する高齢者施設などのスタッフに、定期的なPCR検査を実施することで、クラスターの回避や医療崩壊の防止、感染不安の解消に繋げていきたいという。実施期間は、緊急事態宣言が解除される予定の2月8日から7月までで、約10万人が毎週1回の検査を受けられるように、200億円の予算を組んでいるとのこと。検査内容に関して、対策支援に協力する災害人道医療支援会「HuMa」の常任理事で淀川キリスト教病院 救急科・集中治療科の副部長・夏川知輝医師は「導入している検査機器は、診断に使用できる精度のもの」と話す。また、陽性・陰性の判断は、協力病院である日本医科大学付属病院、聖路加国際病院、東邦大学医療センター大森病院、順天堂大学医学部の医師が担当するという。さらに、日本財団の常務理事・海野光行氏は「管轄の保健所と調整済みのため、結果が陽性だった場合、保健所も確定診断と受け取る」と、陽性者が病院などで再検査をしなくて済むものと説明した。
さらに、検査で陽性者が出た施設には、専門医による対応の支援、入居者全員への追加検査の実施と支援、短期間での職員補充といったアフターフォローも検討しているという。
海野氏は「今回の対策支援は、病院やHuMA、ロボットによる自動化 PCR 検査の川崎重工業株式会社など、様々なネットワークを重ね合わせている。これは、推進している『海と日本プロジェクト』において、異分野の要素を積極的に取り入れたうえで様々な共同事業を行ってきた経験が活かされていると思う」と話している。そして、日本財団の会長・笹川陽平氏は「犠牲者がひとりでも減るようにすることで、新型コロナウイルスの問題を早く解決するようにしたい」と対策支援の意義を語っている。