今、熱源キャラバンカーが日本全国をまわっています。これは、海の繋ぎ手2人が9月にスタートして、東西から全国の“熱源”を巡り、海の魅力や課題を発信する「熱源キャラバン」というプロジェクト。「海に対して熱い想いを持っていたり、社会を動かすムーブメントの源になる方達を私達は“熱源”と呼んでいる」と話すのは、東ルートを担当している海の繋ぎ手・市川さゆりさんです。熱源キャラバンカー「海人(かいと)号」で北海道からスタートした市川さんは、この日、神奈川県でしらす漁を体験。さらに、その日に獲れた生しらす丼も食べました。市川さんは「食卓で食べるというところから見ているものを、獲るというところから見ることによって、海の生き物が獲れるというのは大切なことだと身をもって体験できた」と話しています。
そんな市川さんは、青森県では熱源・志田崇さんのお手伝いも実施。それが、アマモを植える作業です。アマモは魚たちの生息地や産卵場所であり、また、海水をキレイにするとも言われているなど、海の環境を影で支えている存在。志田さんは、陸奥湾にアマモを植える活動に取り組んでいます。そこで、市川さんも海に潜り、アマモを植える作業に挑戦しました。「普段は表面的に海を見ていたなと思った。キレイな海もただキレイではなく、その下に海の環境を良くするアマモがあるから保たれている」と、市川さんは貴重な体験から学びがあったと言います。
一方で、熱源キャラバンカー「繋人(けいと)号」に乗り込み、沖縄県から西日本をまわっているもう1人の海の繋ぎ手が、門脇大樹さんです。門脇さんは熊本県で会った熱源・東濱孝明さんが印象的だったと言います。東濱さんは、海洋浮遊ゴミ回収機「SEABIN(シービン)を国内で普及させようと取り組みをすすめる「株式会社 SUSTAINABLE JAPAN」の代表取締役社長。SEABINは、浮かせておけば円筒形の装置が上下し、自動的に周辺のごみを取り込んでくれるというもので、世界的に問題となっているマイクロプラスチックも回収できるそうです。門脇さんは「持続的に海洋ごみを回収することは人間には出来ない。こういう機械を設置することで、海洋ごみ問題の環境改善のスピード感なども上がっていくのではないかということを学べた」と語っています。
その他にも、市川さんは長野県で山を登って千曲川の源流に行き、山も海に繋がっていることを直に感じたり、門脇さんは和歌山県で海女漁にチャレンジをしたりと、様々なかけがえのない体験をしています。そして、その模様を熱源キャラバンのHPやSNSなどで発信中です。そのゴールは、2021年に「熱源サミット」が開催される予定の島根県出雲市。そんな熱源サミットに向けて行われている熱源キャラバンを通じて、2人には伝えたい想いがあり、市川さんは「熱源キャラバンの発信を見た人達が環境保護の問題などを自分事のように思ってもらいたい」と語り、門脇さんは「豊かで美しい海を未来に引き継ぐためのキッカケをつくっていきたい」と話しています。
熱源キャラバンは、11月20日に出雲市で到着式を行う予定です。