●日本初・水素も燃料にできるタグボート公開──カーボンニュートラルの船舶での実現を目指して
広島県福山市で、国内初となる“水素混焼エンジン”搭載のタグボートが、2026年1月14日に公開されました。この船は、日本財団ゼロエミッション船プロジェクトの一環として開発されたものです。このプロジェクトでは、二酸化炭素を排出しない究極のクリーンエネルギーとされる「水素」を燃料とした船を開発。2024年4月には、水素燃料電池を搭載した船の実用化にも成功しています。
●港湾を支えるタグボートを脱炭素化──世界初の航行にも成功した水素混焼エンジン搭載船「天歐」
この日、公開されたのは、一般的な燃料の重油と水素を混ぜて燃やすことができる水素混焼エンジンを搭載したタグボート「天歐(てんおう)」。タグボートは、大型船の着岸を支援するなど港湾の安全と物流を支える欠かせない存在で、日本全国の港で稼働しています。今回、ジャパンハイドロ株式会社を中心とした12社が共同で開発した「天歐」は、水素混焼エンジンによってタグボートに求められる強大なパワーを実現しながら、約60%もの二酸化炭素削減が可能になるのだそう。さらに、重油の代わりに純度100%のバイオ燃料を使用することも可能となり、この船はその「ゼロカーボン航行」にも世界で初めて成功したとのことです。
●水素専焼エンジン搭載のカーフェリーも建造中──ゼロエミッション船プロジェクトの次なる展開
記者発表に臨んだ日本財団の海野光行常務理事は「港の現場は、最も二酸化炭素の削減が難しいと言われている。その脱炭素化に道を拓く画期的な一歩になった」と今回の成果を、今後への期待を込めて語りました。また、プロジェクトを推進する日本財団では、2050年までに内航船(国内輸送船)の温室効果ガス排出ゼロを目指して、今後も取り組みを進めたいとしています。海野常務理事は「今の港湾の状況を考えると、“水素混焼”という方法が現実的だったため、今回のタグボートではそのエンジンを採用した。究極のクリーンエネルギーである水素を活用した社会を目指して、一歩一歩 進めていきたい」と語っています。ジャパンハイドロ株式会社の神原満夫代表取締役社長は「副次的に水素が出てくる工場は日本国内にかなりある。その有効活用も含めて、内航という分野に注目し、(水素の)地産地消ができればと考えている」と話しています。
ゼロエミッション船プロジェクトでは現在、洋上に浮かぶ水素供給ステーションや水素のみで航行するフェリーなども建造中で、2026年度中の竣工を目指しています。




