海の体験機会づくり

函館の灯台サウナや和歌山の灯台ホテルなどモデル事業が続々~灯台の利活用について語る「海と灯台のまち会議」~

都内で「海と灯台のまち会議」が、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として2023年6月7日に開催されました。海の道標だった灯台は、その役割が変わってきています。そこでこのイベントでは、灯台の存在意義や利活用について、さまざま分野や業種の人が集まり、語り合いました。ファシリテーターを務めた日本財団の海野光行常務理事は「新しい灯台の魅力、人と海との関係、海と地域の関係や灯台との関係を見つめ直して、新しい企画を創造してもらうためのイベント」と会議の目的について話しています。

イベントの中では、「新たな灯台利活用モデル事業」という取り組みが紹介されました。これは灯台の歴史や役割に関する調査研究、施設の整備、利活用についてのサポートを行うというもので、スタートとなった2022年度は12の地域が採択。その事例のひとつが、北海道・函館の恵山岬灯台です。登壇した俳優の大泉洋さんの兄で函館市長の大泉潤さんは「函館の発展を支えたのが灯台。市民アンケートを行ったところ、明治から昭和にかけて、灯台守と呼ばれる技術者が家族とともに灯台に住み込んで、24時間体制で灯台を守ったというエピソードには多くの市民が興味を示しました」と、調査研究の結果を紹介。灯台を軸に函館東部の自然や歴史を語る新たなストーリーができたと言います。そのほかにも、鳥取県の長尾鼻灯台を通じて地域学習を行った学生、和歌山県の潮岬灯台で「灯台のホテル化」を進める企業など、さまざま事例が紹介されました。灯台ホテルを進めるOUTDOOR TRIP株式会社の代表取締役・南畑義明さんは「潮岬灯台の耐震診断をした結果、宿にする過程の中で必ず耐震補強が必要になるとわかった。ホテル化による耐震の診断・補強によって、結果として灯台という建物を守っていくことにつながると思っている」と語っています。事例の紹介のほかにも、「灯台×フェリー」や「灯台×ご当地カード」といった新たなアイデアも提言されました。

今後の灯台の利活用について、日本財団の海野常務理事は「異分野の方々を巻き込んで、新しい灯台の未来を描いてもらいたい。また、世界に広がっていくような形も考えていきたい」と展望を述べています。そうした中、6月1日から7月7日まで2023年度の「新たな灯台利活用モデル事業」の募集が行われています。次は灯台のどんな可能性が示されるのでしょう。

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