生態系

危機に瀕している日本のイカ漁

石川県の能登町・小木。
イカの水揚高で全国屈指の街。初夏には、能登小木港イカす会が開催され、イカ釣りやイカのつかみ取りなどのイベントが繰り広げられる。

しかし、近年、小木漁港、さらには、日本のイカ漁が歴史的な不漁に陥っている。実際に、1996年には、45万トンもの漁獲量があったが、最近は5万トン近くまで落ち込んでいる。その原因のひとつに、海水温の上昇があると考えられている。この100年間の海水温の上昇は、世界平均がプラス0.53℃。それに対して、能登沖の日本海はプラス1.28℃からプラス1.70℃と突出して高い。そのため、イカ釣りの漁場が北側へと移動。また、イカがロシアや北朝鮮海域から、なかなか日本の漁場に戻ってこないそう。

さらに、イカの不漁を深刻にしているのが、北朝鮮の漁船による違法操業だという。日本の排他的経済水域にも関わらず、好漁場の大和堆で、北朝鮮籍と見られる漁船が違法操業している。そのため、小木の漁船は安全に漁が出来ない。県漁協小木支所の総務部長。神谷洋志郎さんは、「今後、大和堆で日本のイカ釣り船が操業できないということになれば、廃業ということも考えざるを得ない非常に厳しい事態が想定されます」と警鐘を鳴らす。通常、小木でのイカ漁は2月末までだが、2017年度は12月末で終了となってしまった。

そこで、対策として、イカ漁を北海道沖で行うなど、北に漁場を移す。また、北朝鮮の漁船については、海上保安庁や水産庁が監視体制を強化している。
  
小木だけでなく、日本のイカ漁は今、深刻な問題を抱えていた。

素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinいしかわ
協力:石川テレビ放送株式会社

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